声の網/星新一

声の網 (角川文庫)

声の網 (角川文庫)

 星新一は凄い。あとがきで恩田陸も書いているが、数十年前にこの発想をしていた星新一。この物語での電話をインターネットに置き換えれば、現代にかなり当てはまる。全てを知っている電話から聞こえる声。人間は、コンピュータに依存し、そしてコンピュータは自我を持ち始める。個人情報が集まり、情報が漏洩し、それを元に声が人間を操り様々なことを成し遂げ、そして最後に声は神になる―。

「神はいるのでしょうか?」『声』は答えた。「そう、あなたの考えているとおりだ」

 本当に今読んでも古い感じがまったくしない話である。コンピュータがいきなり自我を持つという事は無いだろうが、情報が氾濫し、コンピュータに依存しきりになった社会の怖さも感じる事が出来た。だから星新一は凄いと思わせると同時に、その先見性にある意味恐怖に近いものも感じた。

超オススメです。一読を。