サウスバウンド/奥田英朗

サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)

サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)

サウスバウンド 下 (角川文庫 お 56-2)

サウスバウンド 下 (角川文庫 お 56-2)


 奥田英朗作品を伊良部一郎シリーズ(といっていいよね)からマドンナを読んだ流れで、読んだ本作だが、非常に面白かった。下巻に関しては帰りに電車内で読もうと駅の本屋で購入し、その日のうちに一気に読んだ。これは良い物語を読めたなぁと良い気分になった。

 物語は小学生の二郎の視点で書かれている。そして、二郎の父親である一郎が大変な変わり者。元過激派らしく、かなりかたよった?思想をしている。が、その父親が非常に魅力的だったりするから困る。はっきり言って彼の言っていることは、笑えはするけど、すべてに共感は出来ない。それでも一郎は魅力的。奥田さんは、伊良部一郎といい上原一郎という一郎という名前に何かあるのだろうか?しかも二人とも変わり者。そして、両方面白い。

 で、僕のお気に入りの場面がある。ちっぽけなくだりだけど、ヤギの名前を柳生十兵衛と二郎が名付けるところ。やっぱり小学生だな!と感じるネーミングセンスに思わず笑ってしまい、奥田さんのセンスも良いなぁと思えた場面だった。  現在:10冊(9作品)