さがしもの/角田光代 (この本が、世界に存在することに)
さがしもの (新潮文庫)
角田 光代
【目次】
旅する本/だれか/手紙/彼と私の本棚/不幸の種/引き出しの奥/ミツザワ書店/さがしもの/初バレンタイン/あとがきエッセイ 交際履歴
以前出版された「この本が、世界に存在することに」を改題して文庫化されたものです。この「この本が、世界に存在することに」は前々から読みたいと思っていたのですが、その内その内と思っていたら文庫化されました。
この本の中で、「ホントその通りだよなぁ」と思ったのは次の部分。
そうして私は、薄暗いパブの片隅で気づく。
かわっているのは本ではなく、私自身なのだと。
〜中略〜
私の中身が少しずつ増えたり減ったりかたちをかえるたびに、向き合うこの本はがらりと意味を変えるのである。
繰り返しになりますけど、これはホントその通りだと思いました。読んだときの年齢、気分、状況によって本は意味を変えてくる。本に書かれている内容は不変だけれど、僕たち読み手の内容(前述の年齢云々)は可変。だから、改めて読んでみると意味が変わるというのはあって、で、変わったのは悪いかといえばそんな事はない訳で。若い時に読んで感じた事も真だし、歳をとってからもう一度読んで感じた事もまた真なのだから。
一生のうち何度か読み返したい本。そんなの本に出合えたら幸せだろうというのを感じた。
本が好きなら是非読んで欲しい一冊です。