僕は、自分でも悲しくなるぐらい字が下手である。はっきり言って字が下手であることで得したことというのは何一つとしてない。当たり前ではある。
 字が下手というのは得するということが絶対的にありえない。例えば、容姿が悪いとか太っているというネガティブ要素はそういうのが好きだという人がいるので需要が存在している。が、字が下手という事に関してそういった類の話を聞いたことも無ければ、経験したことも無い。「字が下手な人が好き」とか「下手な字が好き」というのは聞いたことも無い。
 そんなことを人生で一番痛感したというか悲観的になったのが就職活動である。就職活動をするにあたって当然、履歴書を書くわけだけれど、そこで意識したわけだ。企業の人が僕たちの印象をまずどこで受けるかといえば履歴書に貼られている写真であり、書かれている経歴であり、そして、字であろう。そこに書かれている字は確実に相手に印象を残す。「名は体を表す」という言葉があるが、「字は人を表す」というのも同じくあると思う。そう考えて、僕の書く字を客観的に評価すれば、僕という人間は「酷く粗暴で、馬鹿な男なんだろう」と印象付けられるような気がする。絶望的な評価である。
 そんな僕を採用してくれた某社には感謝している。希望していた会社でもあるし。まあそう考えると、字だけで判断されるものではないというのもたぶん真であろうけど。ただ、やっぱり、当然、絶対、字が上手いに越したことはない。